Windows 7 Home PremiumがプレインストールされたPCを使っていて、ふとリモート・デスクトップでこのPCに接続しようと思い立っても、そのままではできない。なぜなら、リモート・デスクトップ接続のサーバ機能はWindows 7のProfessional/Enterprise/Ultimateの各エディションに装備されており、Home Premiumにはないからだ。ほかにもWindows 7には、エディションによって利用できない機能がいくつかある。 エディション | Starter | Home Premium | Professional | Enterprise/Ultimate | 64bit版 | - | ○ | ○ | ○ | 新しいタスク・バーやジャンプ・リストなど | ○ | ○ | ○ | ○ | Aeroテーマ | - | ○ | ○ | ○ | Windows Media Center | - | ○ | ○ | ○ | ホーム・グループ | ○ | ○ | ○ | ○ | リモート・デスクトップ接続のサーバ機能 | - | - | ○ | ○ | Windows XP Mode | - | - | ○ | ○ | Active Directoryドメイン参加機能 | - | - | ○ | ○ | 自動バックアップ | - | - | ○ | ○ | BitLocker | - | - | - | ○ | MUI版(マルチ言語版) | - | - | - | ○ | Windows 7が持っている機能はエディションごとに異なる 日本で流通している5種類のエディションについて、相違のある主要な機能をまとめてみた。 | このようなとき、簡単かつ短時間で上位エディションへアップグレードして使いたい機能が使えるよう、Windows 7には「Windows Anytime Upgrade(以下WAUと略)」という機能が標準装備されている。これを使うと、インストール済みのアプリケーションや各種設定を維持したまま、上位エディションへアップグレードできる(新規インストールではない)。本稿では、このWAUによるエディションのアップグレード手順と注意点を説明する。 ●アップグレードできないエディションの組み合わせに注意 まずWAUでは、上位エディションへのアップグレードのみが可能である(すなわちダウングレードはできない)。またEnterpriseへのアップグレードはサポートされておらず、ほぼ同等の機能を持つUltimateへのアップグレードで代替することになる。 | | | アップグレード後 | | | | Starter | Home Premium | Professional | Enterprise | Ultimate | | アップグレード前 | Starter | - | ○ | ○ | × | ○ | | Home Premium | × | - | ○ | × | ○ | | Professional | × | × | - | × | ○ | | Enterprise | × | × | × | - | × | | Ultimate | × | × | × | × | - | Windows Anytime Upgradeでアップグレード可能な組み合わせ | もちろんアップグレードは有償で、アップグレード前後のエディションの組み合わせごとに購入価格は異なる。購入方法は、オンラインでマイクロソフトから購入するか、販売店でWAU用パッケージ(ステップ・アップグレード・パッケージとも呼ばれる)を購入するか、選択できる(「操作方法」で具体的な手順を説明する)。このパッケージも、アップグレード前後のエディションの組み合わせごとに別々になっているので、購入時には元のエディションとアップグレード後のエディションを間違えないように注意する必要がある。 もう1つ注意が必要なのは、WAUであっても例えば32bit版Windows 7を64bit版Windows 7に「アップグレード」することはできない。WAUそのものは32bit版と64bit版の両方で利用できるが、あくまでも同じ32bit版同士あるいは64bit版同士でエディションをアップグレードするための機能といえる。 |